Top  観察覚書:INDEX back


[標本番号:No.24   採集日:2006/10/28   採集地:栃木県、日光市]
[和名:マルバハネゴケ   学名:Plagiochila ovalifolia]
 
2006年11月2日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 先月末に栃木県川治温泉近くの遊歩道できれいなコケを見た(a, b)。生えていたのは、鬼怒川に沿った小径の脇の石で、川の支流のしぶきを浴びる場所だ。自然乾燥させると、葉が縮まってまるで別のコケのようになった。茎の枝分かれは少なく、基部で分かれている。
 植物体は3〜6cmほどで、基物から斜めにでたり、ときに直立している。葉は広卵形で、少しずつ重なって瓦状をなし、斜めについている(c)。葉の縁には小さな鋸歯が20以上ついている(d, f, g)。ピンセットを二本使って、茎から葉をそぎ落とした(e, f)。
 葉の着いたままでは複葉の観察がしにくい。しかし、裸の茎の腹面をいくら探しても複葉らしきものは見られない。ごく僅かに、これが複葉の痕跡だろうかと思えるものを見つけた(i)。鋸歯の部分を拡大すると、先端の細胞は厚い壁を持ち、ほとんど透明にみえる(h)。
 葉身細胞の細胞壁は比較的薄く、トリゴンはあまり目立たない。油体は各細胞に4〜6個ほど見られる(j)。コケの観察では滅多に油浸100倍レンズは使わない。久しぶりに葉身細胞を油浸レンズでみた。合焦位置を変えて撮影した(k, l)。マルバハネゴケ Plagiochila ovalifolia だろう。