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[標本番号:No.37   採集日:2006/11/14   採集地:埼玉県、さいたま市]
[和名:キャラボクゴケ   学名:Fissidens taxifolius]
 
2006年11月17日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 近くの荒川河川敷に広がる秋が瀬公園の遊歩道脇を歩いていみた。今年は暖かったせいか、まだ草が青々としている。道の脇には溝があるが落ち葉ですっかり埋まっている(a)。近寄ってみると鮮やかな色のコケが大きな群をなして広がっていた(b, c)。
 乾燥するとやや縮れてあまりパットしない姿になった。水に浸して一本とりだした。葉が茎の左右にきちんと揃って並んでいる(d)。葉の基部はアヤメのように複葉をなして茎を抱きかかえている(e)。中肋は葉先から突出し、葉の先端付近には小さな鋸歯がある(e〜g)。
 葉身細胞は六角形で、断面をみると一つのパピラらしきものをもっている(h, i)。一枚の歯の複数ヵ所で横断面を切り出してみた(i, j)。ガイドセルが明瞭にみられ、背翼にも腹翼の部分(k)にもパピラがみられる。念のために茎の断面を確認した(l)。
 最初コホウオウゴケだろうと思ったのだが、中肋が葉先から突出している、葉の先端部を除いて概ね全縁、などからキャラボクゴケ Fissidens taxifolius としておくことにした。気になるのは、乾燥すると葉が縮れることである。コホウオウゴケの可能性もかなり高い。