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[標本番号:No.34   採集日:2006/11/09   採集地:栃木県、日光市]
[和名:ウマスギゴケ   学名:Polytrichum commune]
 
2006年11月21日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 日光に向かう途中、高速道路のパーキングエリアの土手に、ハイゴケに混じってスギゴケの仲間がでていた(a)。朔をつけたものはなかったが、とても大きく感じた。地表の緑色の茎は3〜4cmほどだが、全長は12〜15cmある(c)。乾燥すると葉は茎に接して穂状になる(d)。
 葉は細長い披針形で(e)、先端の赤褐色の部分には鋭い歯がある(f)。葉は全周にわたって顕著な歯をもち(g)、基部で湾曲して茎に接している(h)。茎に接する部分は薄く褐色を帯びている。葉の側に見られる歯の近辺には舷のようなものはない(i)。
 葉の横断面をみると、腹面全体を薄板が被い、縁は内曲していない(j)。薄板は5〜7細胞からなり、先端の細胞は断面で凹形をしている(k)。薄板を近接して見ると何とも興味深い列を見ることができる(l)。茎はとても丈夫で、断面をみると厚壁の細胞がよく目立つ(m, n)。
 葉の基部の薄く褐色をした部分を確認してみた(o)。翼部には厚壁で方形の細胞があり(p)、全体は細長い矩形〜長楕円形の細胞(q)、薄板の部分は長方形の細胞からなっている(r)。朔の観察はできなかったが、ウマスギゴケ Polytrichum commune のようだ。