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[標本番号:No.49   採集日:2006/12/20   採集地:埼玉県、さいたま市]
[和名:ヒナノハイゴケ   学名:Venturiella sinensis]
 
2006年12月21日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 さいたま市の公園の樹幹にはいたるところでヒナノハイゴケが見られる(a)。今を盛りと赤色〜赤褐色の朔歯・口環を見せている(b)。まさにクチベニゴケの名にふさわしい。このコケについては、11月8日に観察しているが、そのときは胞子体が未熟で朔歯は見られなかった。
 今日は、先に観察したときとは別の視点から観察して撮影した。朔柄はとても短く、朔の蓋は先端が突出している(c, d)。口環はよく発達し、鮮やかな赤褐色をしている(c〜e)。朔歯には横に走る縞があり、鮮やかな赤褐色の組織表面は、小さなブツブツしたものに被われている(g)。胞子には葉緑体らしき粒が多数みられる(h)。
 葉の先端は透明で細長い針状となり、左巻きに捻れている(i, j)。何枚もの葉を見たが、いずれも皆同じ方向に捻れている。葉に中肋はなく、横断切片を切りだしてみても、平滑な細胞が一様に並んでいるだけ(k)。茎を含めて横断面を見ても、中肋のないことが分かる(l)。
 確かにヒナノハイゴケ Venturiella sinensis は、朔をつけた姿が非常に特徴的で、似たようなコケが少ないこともあり、ルーペで見るまでもなく同定でき、覚えやすいコケのようだ。