HOME  観察覚書:INDEX back


[標本番号:No.54   採集日:2006/12/25   採集地:東京都、八王子市]
[和名:ケチョウチンゴケ   学名:Rhizomnium tuomikoskii]
 
2006年12月28日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 高尾山で出会ったコケのなかで、興味深い姿を呈していたものがある。山頂近くの沢の中に腐ってボロボロになった太い丸太があった。その上面から側面にかけて、丸い葉を広げたコケが着いていた。その頂部には、茶褐色の糸くずのようなものが乗っていた(a, b)。朔をつけたものがごくわずかに見られた。
 糸くず部分をルーペで見ると、それは仮根と無性芽のようだった(d, e)。葉は頂部に密につき、ウチワ型をして外側に反り返っている(f, g)。先端がわずかに突出し、縁は舷をなし、全縁である(g〜i)。中肋は赤みを帯びて葉先ちかくまで伸びている(g)。葉身細胞は六角形でとても大きく、ルーペで簡単に確認できる(j)。
 仮根は茎の基部から、葉の上面にまで多数伸びている。これを取り外してみた(k)。仮根の分枝した先には多数の無性芽がついていた(k)。無性芽は8〜10の節を持った線形芋虫状をしている(l)。隔壁が赤褐色をしているのが不気味な印象を与える。
 大きく厚い葉なので、とても楽に横断切片を作ることができた(m)。葉の舷の部分にも中肋と似たような構造があり、茶褐色をしている(m, o)。中肋は内部に薄膜茶褐色の細胞があり、外側が厚壁の比較的大きな細胞が占めている(n)。
 少しだけついていた朔は未熟だった(o)。帽は未完成で蓋も自然には外れなかった。これを横断面で切ってみた(p)。口環はでき始めているようだが、朔歯は全くできていない。朔柄を横断面で切ってみると、ほぼ同心円上に大きさの違う組織がみられた(r)。
 大きな仮根ばかりがあり、茎頂部にある葉の上面にまで多数みられること、仮根の先に線形の無性芽がみられることから、ケチョウチンゴケ Rhizomnium tuomikoskii だろう。