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[標本番号:No.59   採集日:2006/12/29   採集地:東京都、あきる野市]
[和名:クラマゴケモドキ   学名:Porella perrottetiana]
 
2006年12月31日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 奥多摩の沢の源流の石灰岩の壁は、滴る水でジメジメしていたが、そこには苔類が一面に厚いマット状に着いていた(a)。コケは羽状に分枝し、一つの茎の長さは8〜12cmほどあった(b)。扁平に左右に開く葉を、背側(c)、腹側(d)から見た。乾燥すると葉は縮れて丸まった。
 葉の背片は倒瓦状に重なり合ってつき、幅の狭い折れ目で腹片に繋がり、腹葉をもっている(e, f)。背片の葉先には鋭く尖った歯が4〜7つほどある(j, k)。舌形をした腹片も長く鋭い歯に縁取られている。腹葉は茎幅より少し広く、縁には長い歯がいくつもついている(g)。背片と腹片をセットで、腹葉と一緒に切り出したが、水没させるとバラバラになってしまった(h, i)。葉身細胞は丸みを帯びた多角形で、トリゴンは大きく、油体が15〜35ほど見られる(l)。
 葉が倒瓦状に重なり合い茎に縦に着くこと、背片と小さな腹片からなりキールは短いこと、舌形の複葉があることなどから、クラマゴケモドキ科には間違いなさそうだ。葉は波打たないからクラマゴケモドキ属まではよいと思う。数十株で数十枚の葉を見る限り、全縁のものはなかった。
 クラマゴケモドキ属の検索表にあたると、クラマゴケモドキ Porella perrottetiana が最も近いように思える。しかし、ヤマトクラマゴケモドキの可能性も否定できない。