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[標本番号:No.66   採集日:2006/12/29   採集地:東京都、あきる野市]
[和名:ヒメクサリゴケ   学名:Cololejeunea longifolia]
 
2007年1月4日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨年12月29日に東京の養沢流域から葉上着生苔類を持ち帰ってそのままになっていた(a, b)。茎の長さは3〜5mm、幅は葉を含めて0.2〜0.5mmだろうか、不規則に分枝し、とても小さい。葉は倒瓦状でわずかに重なっている(c)。とても脆く葉から外そうとするとすぐに崩れてしまう。
 やっとのことで葉から外して腹面をみた(d)。腹葉はなく、腹片の基部には仮根が束になってついている(d, g, h)。葉の背片は先がやや尖った卵型で全縁、著しく背側に偏向している(e, f)。腹片は、長さが背片の1/2〜2/5ほどで2歯があり、キールは長い(g, h)。
 葉身細胞はややほぼ多角形でわずかにトリゴンがあり、1細胞に10〜15ほどの油体がみられる(i, j)。茎の途中からでている組織は無性芽なのか雄苞葉なのかわからない(k)。同じく、茎の途中に雌苞葉に包まれた造卵器らしきものも見える(l)。なお、茎の先端には花被のようなものがあるように見えるが、はっきりと捉えることはできなかった。
 葉は倒瓦状につき、腹片を持ちキールは長く、複葉がないことからヤスデゴケ科ではなさそうだ。そうなると検討するのはクサリゴケ科だけでよい。クサリゴケ科の検索表をたどると、ヒメクサリゴケ属に落ちる。つぎに、ヒメクサリゴケ属の検索表をたどると、落ちるところがない。ヨウジョウゴケとヒメクサリゴケとの両者の中間のような形態をしている。
 どちらかといえば、ヒメクサリゴケに近いように思えるが、葉の背片の形、葉身細胞の形がやや異なる。ヨウジョウゴケとはさらに相違がいくつもある。とりあえず、現時点ではヒメクサリゴケ属 Cololejeunea sp. とまでしかわからない。

[修正と補足:2007.1.17]
 千葉県立中央博物館の古木博士にみていただいた。典型的な姿からはやや離れているが、これは、間違いなくヒメクサリゴケ Cololejeunea longifolia であるという。