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[標本番号:No.70   採集日:2007/01/07   採集地:栃木県、栃木市]
[和名:クラマゴケモドキ   学名:Porella perrottetiana]
 
2007年1月9日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 一昨日強風の吹く中を、栃木県にある出流山満願寺の奥の院付近の石灰岩地帯をあるいた。石灰岩生のきのこが目的で出かけたのだが、件のきのこには出会えなかった。しかし、大きな石灰岩にはみごとなコケの群落が多数みられた(a, b)。
 小形のシダが生えているかと思えるほどで、茎の長さは7〜15cmほどあり、斜上に立ち上がり、羽状に分岐していた。現地でルーペで確認したところ、葉の背片は鋭い歯が4〜7つほどあり、腹片は舌状で長い歯に縁取られている(c)。
 たぶん、以前にも観察したクラマゴケモドキだろうと思ったが、自信がないので念のために持ち帰った。枝の先には扁平な花被がつき、葉は倒瓦状で、幅の狭い腹葉がある(d, e)。葉を背片と腹片が着いた状態で取り外して、ルーペでみた(f)。顕微鏡低倍率でも確認した(g)。
 背片の歯(h, i)、腹片の歯(j, k)は予期していた通りのものだった。今回は葉身細胞の画像にスケールをいれた。油体は、一細胞につき30くらいある。クラマゴケモドキ Porella perrottetiana にまちがいなさそうだ。前回は葉の腹片と腹片がバラバラになってしまったが、今回は茎から一緒に切り出して散逸するのを防いだ。