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[標本番号:No.67   採集日:2007/01/07   採集地:栃木県、栃木市]
[和名:キャラハゴケ   学名:Taxiphyllum taxirameum]
 
2007年1月10日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
 日曜日(1/7)に栃木県 満願寺奥の院周辺の石灰岩地帯を歩き何種類かのコケを採集した。そのうちのひとつ、林道脇の岩壁にマット状に層をなしていた蘚類があった(a, b)。根のようになった褐色の茎が岩をはい、そこから枝を一定方向に水平に出している。茎の長さは3〜6cm、幅は葉を含めて2.5〜4mm。乾燥しても葉はあまり縮まない。
 茎や枝からは、不規則に長い枝を出す(c)。葉は扁平に左右に均一についている(d)。枝の途中からは雌苞葉のようなものが多数ついている(e)。これまでにもしばしば、こういった組織をみるのだが、これが何なのか今はまだ不勉強で理解できていない。
 枝の基部には、糸状の組織や小さな葉のようなものがみられる(f)。葉は卵状〜三角形の披針形で、長さ1〜2mm、左右非相称で短く二叉する中肋が基部にわずかにみられる(g)。葉の先端は軽く尖り、小さな歯がある(g, h)。
 葉身細胞は細長い線形で、50〜80 × 5〜8μm、先端近くの縁に明瞭なパピラがある(h, i)。翼部の細胞は矩形〜方形でパピラはみられない(j)。葉の中間あたりで切り出した横断面に中肋はない(k)。葉の基部で切り出した横断面には中肋を確認することができる(l)。
 茎の横断面を見ると、表皮を構成する細胞は厚壁で小さなものからなる(m)。オオサナダゴケモドキの茎断面とはかなり異なる。茎を縦断面でも切ってみた(n)。葉の付き方が分かる(n, o)。観察結果から、サナダゴケ科キャラハゴケ属となる。分類形質として茎の表皮細胞の構造が使われている。属の検索をみるとキャラハゴケ Taxiphyllum taxirameum としてよさそうだ。