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[標本番号:No.75   採集日:2007/01/15   採集地:埼玉県、川口市]
[和名:ツクシナギゴケ   学名:Eurhynchium savatieri]
 
2007年1月17日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
 自宅団地では、建物北側の樹下に柵があり、人に踏みつけられずに多くの植物やコケがみられる。ナミガタタチゴケをはじめ、何種類かのコケがいつもみられる。
 今朝も、そのうちからひとつを持ち帰ってきた(a)。一部の群れでは朔をたくさんつけている(b)。茎は不規則に分枝して複雑に絡み合い、長さ1cm前後の枝を出す(c)。写真(a, b)は乾燥しているときの姿だが、湿るとわずかに扁平になる(c, d)。茎に毛葉などはない(d)。
 枝葉は0.8〜1.3mmほどで広い卵型(e)、茎葉も同じような形でわずかに枝葉より大きい。縁には全体に歯がある。中肋は葉長の2/3〜3/4、中肋背面の先端はひとつのパピラというか歯となっている(f, g)。葉身細胞は線形で30-50 x 3-6μm、翼部の細胞は、ほかの葉身細胞よりやや広めで、大きな分化はみられない。
 葉の基部と中程の横断面を切り出してみた(h, i)。中肋部を構成する組織が次第に疎になっている。茎の横断面をみると、多くは中心束のようなものがある(j)。
 多数の朔をつけていたので、しっかりと観察することができた。朔は先端が尖った帽を被る(k)。帽を外して、蓋を取り除くと朔歯が現れ、胞子が飛び出してきた(l)。朔柄の表面には全体にわたってパピラがみられる(m)。朔歯は二列で内外とも同じような高さで16枚からなる(n)。外朔歯は乾燥時に開き(n)、湿ると閉じる(o)。
 観察結果を素直にたどると、アオギヌゴケ科となる。そこでアオギヌゴケ科の検索表をたどると、ツルハシゴケ属 Eurhynchium となる。中肋先端の刺のような構造が大きな手がかりとなる。属の検索をたどるとツクシナギゴケ Eurhynchium savatieri となった。
 この時点で中村他「校庭のコケ」のツクシナギゴケを開いてみた。「全国に広く分布する。都市部でも普通」とあり、よく似た写真が掲載されていた。