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[標本番号:No.99   採集日:2007/02/11   採集地:静岡県、川根本町]
[和名:ヒノキゴケ   学名:Pyrrhobryum dozyanum]
 
2007年2月15日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 2月11日寸又峡温泉近くのヒノキ植林地で採取したコケを観察した(a)。腐植土上にふさふさした群落を作っていた。乾燥していたので、葉は上向きに巻き込んでいたが(b)、湿らすと密についた葉が端正にスラッと伸びた(c)。
 枝分かれは少なく、長さ5〜8cm、中程まで密に茶色の仮根に覆われている。茎についた葉は中程が最も長く、上部と下部では短いので、全体として中程が最も太く見える。茶褐色の仮根に覆われた茎にも褐色の短い葉がついている。
 葉は長さ8〜10mmで、線状披針形で、顕著な中肋が葉頂まで達している(d, e)。中肋背面にはV字型に分かれた鋭い歯がある。葉の背面を合焦位置を変えて撮影したものを一枚にまとめてみた(f)。3つある最上段が中肋背面である。葉先や葉の縁には対になった鋭い歯がある(e〜h)。葉の縁は2細胞層からなり、横断面をみると明瞭にわかる(i, j)。仮根に覆われた部分につく短い葉も縁は2細胞層からなる(k)。横断面でみると、中肋の部分が丸みを帯びた独特の三角形となっている。葉身細胞は角のまるい方形のものが多い(i)。茎の断面も確認した(l)。
 あまりにも特徴的な形質がいくつもある。キツネかイタチの尻尾のような姿、線状披針形の葉、中肋背面や葉縁の対になった鋭い歯、2細胞層からなる葉縁、茎の中程まで仮根に密に覆われるなど、典型的なヒノキゴケ Pyrrhobryum dozyanum と思われる。