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[標本番号:No.112   採集日:2007/02/22   採集地:埼玉県、川越市]
[和名:シシゴケ   学名:Brothera leana]
 
2007年2月27日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 22日(木)にきのこ観察で出かけた川越の雑木林から何種類かのコケを持ち帰った。今朝はそれらのうちから2種類を見た。そのうちのひとつは、放置されてすっかり腐朽した杉材についていたとても小さく、白緑色で絹のようなツヤをもったコケだ(a)。
 近づいてよく見ると、ホソバオキナゴケを一回り小さくしたようなイメージがある(b)。茎はほとんど無いほど短くて、2〜5mmほどで、まったく分枝せずに、そこから披針形の葉を放射状に密に出している(c)。葉は長さ1〜2mmで、中肋が葉の大部分を占め、基部では1/2〜3/5ほどの幅、中部では1/2〜3/4、先端の尖った針状の部分では、ほとんどすべて中肋だけからなる(d, e)。縁はほぼ全縁で、葉の翼部は特に分化している様子はない。
 葉身細胞は、長めの矩形で長さ40〜60μm、幅8〜15μm(e, f)、翼部は褐色の細胞が多く、形態的には特に分化していない(g)。葉の横断面をみると、葉の基部から中央部あたりまでは、中肋以外の部分もわかるが、先端に近づくにつれて、中肋ばかりが目立つ(h〜k)。葉の先端付近の横断面はうまく撮影できなかった。短い茎の断面をみると、全体が薄膜の比較的大きな細胞から構成され、いかにも弱々しい。
 シッポゴケ科シシゴケ属のシシゴケ Brothera leana らしい。最初こういった白緑色のこけは、ほとんどがシラガゴケ科だとばかり思って、シラガゴケ属の検索表にあたってしまった。ところがシラガゴケ属に該当するこけはない。そこで、次に比較検討したのがシッポゴケ科だった。なお、シシゴケを特徴づけるという無性芽はつけていなかった。