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[標本番号:No.130   採集日:2007/03/04   採集地:埼玉県、皆野町]
[和名:ネズミノオゴケ   学名:Myuroclada maximowiczii]
 
2007年3月11日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 埼玉県皆野町のセツブンソウ群落地では、やや厚みのあるコケが大岩を覆っていた(a)。近寄ってみると、非常に特徴的な葉の付き方をしている(a)。先に栃木市で採取したものを、今月4日にていねいに観察しているので、ネズミノオゴケに間違いなかろうと思った(覚書2007.3.4)。念のために再度確認してみるために持ち帰った。
 前回採取した群には、長く伸びた一次茎をもった個体はなかったが、今回は横に這う茎は8〜12cmほどあり、そこから直立する2〜3cmの枝を出している(c)。茎の片側だけにかなり頻繁に分枝している。枝には覆瓦状にふっくらと葉がついている(d, e)。
 茎葉は、前回観察したような先端が鋭く尖ったものは比較的少なく、形も全体に丸みを帯びた卵形で葉頂は鈍頭で、葉先付近には微歯がみられる(f)。それに対して、枝葉は球を半分に割ったような円形で、葉頂はわずかに尖り、縁にはやはり微歯がある(g, i)。中肋は葉の中程あたりで終わっている(h)。枝葉の径は1.2〜2mmで、顕微鏡で見ようとカバーグラスをかけると大部分がすぐに割れたり潰れてしまう。
 葉身細胞は、茎葉も枝葉も、葉頂付近では菱形(i)、葉の中央部では細長い菱形(j)で、枝葉の中央部では長さ30μmを超えるものも多い。いろいろな方法で試みたが、脆くて深く凹んだ葉の横断面切り出しはうまくいかない(k)。茎や枝の横断面は気楽に切り出すことができた(l)。
 アオギヌゴケ科の中でも、このような特徴的な姿のこけは他にないので、今後は現地ですぐに分かることだろう。今後はわざわざ持ちかえる必要はなさそうだ。再び採取するととすれば、胞子体をつけた個体に出会ったときだろう。