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[標本番号:No.151   採集日:2007/03/21   採集地:千葉県、君津市]
[和名:ジャゴケ   学名:Conocephalum conicum]
 
2007年3月27日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 千葉県君津市の城址公園の切り通しの両側は常に水が滴り落ちている。そのために、ホソバミズゼニゴケやジャゴケが大きな群落を作っている(a)。ジャゴケが雌器托柄を長く伸ばしていたので、持ち帰って観察してみることにした(b)。
 ジャゴケの背面は多角形の区画で仕切られ中央に気室孔がある(c)。横断面をみると、背面の最表面は透明な一層の細胞からなり、その下に濃緑色の層がある(d, e)。気室孔を横断面でみた(f)。同化糸は尖端が嘴のような形をしている。緑色の層の下は大きな細胞からなり(f)、楕円形の油体もみられる(g)。仮根は有紋型と平滑型の両者をもつ(h)。
 雌器托の先についた雌器床は若い内は緑色だが、成熟すると褐色になるようだ(i)。雌器托には胞子体が6つある(j)。成熟した胞子体は(k)、炸裂して胞子をとばし(r)、後には褐色の弾糸ばかりが糸くずのように残っている(l)。
 
 
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 褐色の糸くずのような塊を顕微鏡で覗いてみた(m)。二重〜三重の螺旋構造をした短い弾糸が無数にある。雌器床の中に寄生している胞子体は長めの卵のような形をしており(n)、縦断してみると中には胞子と弾糸がギッシリつまっている(o)。
 胞子は表面に小さな疣のようなものがあり、多細胞である。胞子の表面からジワジワ合焦位置を下げて輪郭部まで4コマを撮影して1枚に納めてみた(p)。弾糸の螺旋はまるでDNAの螺旋構造モデルをみているようだ。なお、胞子体の朔は黒褐色だが、雌器床に結合する朔柄は透明な脆い組織からなっている(r)。

 昨年コケに関わるようになった7月頃には、ゼニゴケ科やジャゴケ科の胞子体を、誤って理解していた。長く伸びる雌器托(b)全体が胞子体だとばかり思っていた。しかし、この長く伸びた柄の部分やその上に傘のような形をした雌器床は、胞子体ではなく配偶体の一部であり、胞子体は雌器床のなかに埋もれている。それに対して、他の多くの苔類では、蘚類同様細長く伸びた部分全体が胞子体であるという。