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[標本番号:No.153   採集日:2007/03/21   採集地:千葉県、君津市]
[和名:ケゼニゴケ   学名:Dumortiera hirsuta]
 
2007年3月29日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 千葉県君津市の城址公園湿った遊歩道脇にアブラゴケと混生するようにケゼニゴケらしき葉状体があった(a)。雄器床をつけたものはなかったが、雌器床らしき毛の生えた円盤状の組織をつけたものがみられた。葉状体の表面はビロード状の光沢がある(b)。
 中肋部のような厚みの有る部分を切り出してみた(c)。背面には気室孔などはみられない。背面の表皮は丸みを帯びた緑色の細胞からなり、その下に油体を多数もった大型で透明な細雨がある(d)。一方、ビロード状の感触の部分の翼部を切り出すと(e)、背面の表皮細胞が乳頭を上に向けたような形で並んでいる(f)。大型透明葉状体内部の細胞には径8〜12μmの油体が数十個みられる(g)。仮根には有紋型と平滑型がある(l)。
 雌器床は、まだ柄が短く充分に成長していないようだ(h)。雌器床を切ってみると、朔になる組織らしきものが5〜6つみられる(i)。その一つをとりだして、切ってみた。まだ胞子や弾糸はできていないようだ(j)。内部には球形の胞子様のものがある(k)。ケゼニゴケ Dumortiera hirsuta に間違いなさそうだ。この種を観察したのは昨年12月の高尾山いらいだった(覚書2006.12.29)。