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[標本番号:No.184   採集日:2007/04/07   採集地:栃木県、日光市]
[和名:オオサナダゴケモドキ   学名:Plagiothecium euryphyllum]
 
2007年4月21日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 鬼怒川遊歩道からやや離れた渓谷の支流で、落ち葉が折り重なった沢の腐木から扁平でツヤのあるコケがマットをつくっていた(a)。古い葉を見せる小さな群もあった(b)。やや立ち上がり気味に斜上して、扁平に葉をつけた新しい枝が広がっていた(c)。
 茎は長さ3〜5cm、斜上する枝をだす。枝には葉が扁平につき、長さ0.8〜1.5cm、幅1.5〜2mm、乾燥しても葉は縮まない(d, e)。葉は広卵形〜船形で、長さ1.8〜2.5mm、葉先はわずかに尖り、二叉する短い中肋がある。葉縁は全縁だが、先端付近に微細な歯がある(f, g)。
 葉身細胞は、線形で長さ100〜150μm、幅5〜8μm、薄膜だが基部近くではやや厚膜、葉先では短い(g, h)。翼部には大きめの方形の細胞が並んでいる(i)。葉の横断面を二ヵ所で切ってみた(j, k)。茎の表皮細胞は、大きくて薄膜の細胞からなり、やや不明瞭な中心束がある(l)。

 全体にツヤがあり、葉が扁平につき、2本ある中肋は短く、葉身細胞が長い線形、翼部が発達していること、などからツヤゴケ属だろうと見当をつけた。翼部の細胞の形状や葉の形などから、最初はヒロハツヤゴケ、あるいはミドリツヤゴケかもしれないと思った。しかし、それにしては葉身細胞が長すぎる。中には140μmに及ぶものもある。平均的にみても、大部分が80μmを越えている。そこで、ツクシツヤゴケだろうと考えるに到った。

[修正と補足:2007.04.25]
 これはオオサナダゴケモドキではあるまいかと、識者の方からご指摘をいただいた。再度標本にあたって調べ直したところ、オオサナダゴケモドキとするのが適切であると思われる。ここに修正した。識者の方、ありがとうございました。