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[標本番号:No.211   採集日:2007/04/29   採集地:栃木県、日光市]
[和名:スギゴケ   学名:Polytrichum juniperinum]
 
2007年5月19日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 先月末の日光からは何種類かのスギゴケ属を持ち帰った。いずれも少しずつ違っていた。最後にひとつ手元にのこったものを観察してみた。腐植土上に発生し、ちょっと見た目では、オオスギゴケやウマスギゴケと似ているが、葉の縁の様子が何となく違っていた(a, b)。
 茎は、高さ6〜12cm、地下茎の様な部分からわずかに枝分かれも見られる。葉は卵状楕円形の鞘部から外曲して披針状に伸び、葉先は中肋部が突出し、褐色で歯をもち(c, e, f)、乾燥すると葉は茎に接する(d)。著しい特徴として、葉縁は全縁だが、縁が腹側に折り畳まれるように、薄板の上に覆い被さっている(b, e)。
 葉の中部と下部で横断面を切り出してみた(g, h)。葉の縁が大きく薄板の上に覆い被さっている様子がよくわかる。先端付近では薄板を完全に覆い隠している。薄板は4〜6細胞の高さで、横断面でみても(i)、縦断面でみても(j)、端細胞はフラスコ型をしている。薄板の表面は連続する乳頭状にみえる。薄板を一枚はがしてみると、これは明瞭に分かる。
 葉の基部、鞘部を構成する細胞は、長い矩形〜線形で、長さ70-110μm(k)、横断面をみると中肋の部分にだけ、高さ1〜2細胞の薄板状組織がある。乾燥時の葉の状態、薄板にかぶさるように内曲した葉縁から、スギゴケ Polytrichum juniperinum としてよさそうだ。