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[標本番号:No.204   採集日:2007/04/29   採集地:栃木県、日光市]
[和名:チャボスズゴケ   学名:Boulaya mittenii]
 
2007年5月28日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 4月末の日光で、倒れたカラマツの樹幹や腐木の表面を這い、硬い感じの褐色のコケを採取した(a, b)。乾燥するとゴワゴワとした紐状になるが(c)、水に浸すとすぐに、葉が開く(d)。乾燥時と湿時とで大きく印象が変わる。葉は放射状につき、厚みを感じる(e, f)。
 茎は樹幹をはい、規則的に羽状に短い枝を出す。茎の長さは12〜15cmに及び、斜めに立ち上がる枝は5〜8mm、茎や枝の表面には多数の毛葉がみられる(g)。茎葉の基部は、広い卵形ないし丸みを帯びた三角形で、急に細くなって先端部は針状となる(i, j)。一方、枝葉はやや小さく、先端が披針状の卵形で中央が凹んでいる(i, k)。茎葉の長さは1〜1.5mm、枝葉は0.8〜1mmで、ともに全縁(i)。茎葉も枝葉も強い中肋をもち、葉長の2/3に達する。茎葉の中肋基部には、茎の表面と同じく、毛葉が見られる(h)。
 葉身細胞は、不規則な方形〜多角形で厚膜、長さ7〜15μm(l)、表面には1〜2個の乳頭がある(m)。枝葉を3ヵ所で切り出して、横断面を観察してみた(n〜p)。葉先近くになると、中肋が曖昧になっている(p)。茎の断面を切り出すと、茎葉の横断面もみられた(q)。茎も枝も、横断面をみると、表皮細胞は厚膜の小さな細胞から構成され、中心束はみられない(q, r)。
 シノブゴケ科のチャボスズゴケ Boulaya mittenii だろう。とても丈夫なコケで、ちょっと引っ張った程度では、茎は簡単には千切れず、乾燥するとさらに強くなり、まるで紙紐を切っているかのような印象を受けた。