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[標本番号:No.239   採集日:2007/05/20   採集地:群馬県、水上町]
[和名:ハミズゴケ   学名:Pogonatum spinulosum]
 
2007年6月6日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 5月20日、群馬県水上町の雑木林の斜面で、ハミズゴケ Pogonatum spinulosum の群生に出会った(a, b)。全体が泥でひどく汚れ、朔は干からびていた(c)。以前の観察覚書(2006.10.3)を記したときの標本は、比較的若くて朔を包み込む苞葉も綺麗だった。
 予測通り、葉は泥だらけで損傷もかなり激しいく、葉縁の様子は不明瞭だ(e)。葉頂は中肋が芒状に伸び、透明な歯がついている(f)。葉身細胞は、葉の位置によってかなり大きさが異なる(g)。いずれの場所でも葉緑体は少ない。
 葉に囲まれた部分を横断面で切ってみた(h)。茎とその内側に朔柄らしきものが見える。葉の基部は幅広い中肋を持つが、薄板はない(i)。葉の中央部や先端部でもこれは同様である(j)。朔柄の横断面をみると、中心部の白色の薄膜細胞が組織全体から離れて、空洞がかなりできていた(k)。念のために、茎の断面と朔基部の断面を並べてみた(l)。
 朔を覆う膜はほとんどが破れていた(m)。朔歯はいかにもスギゴケ科を思わせる(n)。朔壁には乳頭があるとされるので、朔を輪切りにしてみた(o)。倍率を上げていくと、乳頭の様子がはっきりとわかる(p)。胞子もまだ多数残っていた(q)。泥にまみれて鮮明な原糸体はみられない(r)。

 激しい雨にでもあたったのだろうか、今回採取した標本はすべてひどく泥によごれ、葉は崩れ、朔も破れ、朔歯は崩れていた。原糸体も最後まで泥と分離できなかった。