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[標本番号:No.247   採集日:2007/06/02   採集地:栃木県、日光市]
[和名:ホンモンジゴケ   学名:Scopelophila cataractae]
 
2007年6月10日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 岡モスの日光撮影会(6/2〜6/3)の折、神社の銅葺屋根の下にセンボンゴケ科の蘚類がモッコリしたマットを作っていた(a, b)。おそらくホンモンジゴケだろうが、イワマセンボンゴケの可能性も否定できない。そこで、少していねいに観察してみることにした。
 群落は褐色がかった暗黄緑色で、乾くと上方にすぼんだように縮れる(b〜d)。茎はながさ1.5〜2cm、ほとんど枝分かれせず、葉を放射状につける。上部の葉は、長さ1.2〜1.8mm、楕円状披針形で、葉頂はやや鋭頭、全縁で、中肋が頂に達する(e, f)。
 葉身細胞は、葉頂付近ではやや厚壁の菱形、葉の中央部では楕円形〜六角形〜矩形で、長さ8〜12μm、葉縁部の細胞は特に分化していない(g)。葉の基部dは矩形で、長さ20〜25μm、幅8〜15μm、中肋に近い部分では大きく、葉縁部では小さい(h)。
 葉の横断面を何ヶ所かで確認してみた。中肋の腹面にはステライドはなく、背面にのみステライドが発達している。中肋は全体に背側に突出気味に走っている(i)。茎の断面をみると、表皮細胞は薄膜で、中心束は見られない(j)。

 銅などの鉱物を含む場所に出るセンボンゴケ科の蘚類には、イワマセンボンゴケもあるという。これは、葉縁の細胞が黄色みを帯びた厚膜の2〜3列の細胞で彩られているという。今日観察したものには、そういった特徴はみられない(g)。ホンモンジゴケ Scopelophila cataractae としてよさそうだ。