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[標本番号:No.286   採集日:2007/07/16   採集地:山形県、米沢市]
[和名:コホウオウゴケ   学名:Fissidens adelphinus]
 
2007年7月31日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 山形県のひなびた温泉に出かけた時、小さなホウオウゴケの仲間にであった。また、キャラボクゴケかもしれないと思ったが、あるいは・・・、という気持ちがあったので採取した(a)。今朝はそれを観察してみた。
 植物体は、長さ1cm前後のものが大部分で、わずかではあるが2cmを越えるものもみられた。葉は舌状披針形で、基部は茎に延下してはいない(b)。葉の長さは1.2〜1.5mm、中肋は葉頂に達し(c, d)、葉縁はルーペで見るとほとんど全縁だが、顕微鏡でやや倍率を上げてみると、全周にわたって微細な歯がついている。葉身細胞は不規則な多角形で、長径5〜12μm、表面のうち特に背面が厚く盛り上がり、そこに3〜4つの乳頭が見られる(e, f)。
 葉の断面は、いかにもホウオウゴケ科らしい形をしていて(g, h)、腹翼背面や(i)、背翼の両面には、3〜4つの顕著な乳頭がある(j, k)。茎の表皮細胞は、厚壁で小さい(l)。

 明らかにキャラボクゴケとは異なる。キャラボクゴケの葉身細胞は、背腹両面に丸い乳頭が一つだけあり、中肋がやや長く突出する。ところが、このホウオウゴケ科蘚類にはそういった特徴はなく、細胞表面の模様が間違えないほど異なる。コホウオウゴケとしてよいと思う。