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[標本番号:No.243   採集日:2007/06/03   採集地:栃木県、日光市]
[和名:ナンブサナダゴケ   学名:Plagiothecium curvifolium]
 
2007年8月9日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 6月初めに行われた岡モス関東の合宿の折りに採取して、そのままになっていたコケを観察した。沢沿いの日陰地の腐木や樹木の基部に薄いマットを作っていた(a, b)。茎は長さ2〜4cmで、不規則に分枝し、偏平にやや光沢のある葉をつける。毛葉、偽毛葉、無性芽などはない。
 葉は長さ1.2〜1.8mm、卵形で、あまり凹まず、おおくは非相称で、全縁。葉先はわずかに尖り、中肋は短く二叉し、翼部の分化はなく、基部は下延し、その部分の細胞は他より短い(d〜f)。葉身細胞は線形で、長さ90〜130μm、幅は8〜10μm、基部では長さ30〜60μm、幅は10〜12μm(g)。葉の横断面を見ても膜は薄い(h)。茎は横断面でみて、中型で薄膜の表皮細胞があり、中心束は弱い(i)。茎の切断位置によっては、中心束は全くない。
 いくつかの個体が朔をつけていた(c)。柄は長さ15〜20mm、朔はやや傾いてつく(j)。蓋をつけたものは見つからず、朔歯も崩れていたが、朔歯は二重で、おのおの16枚あり(k)、内朔歯の尖端は小さな乳頭に被われている(l)。

 茎が不規則に分枝して這い、葉が偏平につき、二叉して短い中肋を持ち、葉身細胞は線状、翼部の細胞はほとんど分化しない、などからサナダゴケ科だろうと検討をつけた。次に茎の横断面で表皮細胞が薄膜、葉縁は全縁で、葉の基部が下延することから、サナダゴケ属に落ちる。属内の検索表をたどると、ナンブサナダゴケ Plagiothecium curvifolium に落ちた。