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[標本番号:No.296   採集日:2007/06/02   採集地:栃木県、日光市]
[和名:カタシロゴケ   学名:Syrrhopodon japonicus]
 
2007年8月16日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 日光でスギ樹皮を被うようについていた蘚を観察した(a, b)。緑褐色を帯び、乾くとゆるく巻縮する(b)。茎は高さ1.5cm前後、葉は卵形の基部からほぼ同じ太さで、上半部で緩やかに細くなり、太い中肋が葉頂に達する(d, e)。葉の上半の縁には双生の歯があり(f〜h)、中肋背面上部には疎らに歯をつけ(g)、中肋表面は乳頭に被われる(i)。
 葉の翼部の形には単生の鋭い歯があり(j)、中肋を挟んで大型透明の矩形細胞が広がる(j, k)。葉身細胞は、矩形〜多角形で、長さ6〜10μm、表面に乳頭があり、暗くみえる(l)。葉の横断面をみると、強壮な中肋が目立ち(m)、腹面には乳頭があり、葉縁は多層である(n, o)。葉の基部の断面では、幅広の中肋から薄膜平滑な細胞が広がっている(p)。基部の中肋には、背腹両面にステライドがよく発達している(q)。茎に中心束はない(r)。

 茎は立ち、樹幹や樹皮に着生し、葉には強壮な1本の中肋があり、基部の中肋両側に大型透明な方形細胞が顕著であることなどから、カタシロゴケ科にはまちがいない。科の検索表をたどると、アミゴケ属 Syrrhopodon に落ちる。属の検索表をみると、葉上部の縁に双生の歯があり、葉身細胞表面に丸みを帯びた乳頭があることから、カタシロゴケ Syrrhopodon japonicus となった。種についての記述は観察結果とよく符合する。