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[標本番号:No.279   採集日:2007/06/24   採集地:山梨県、鳴沢村]
[和名:コセイタカスギゴケ   学名:Pogonatum contortum]
 
2007年8月18日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 富士山で採取したスギゴケ科の蘚類を観察した(a)。左側が乾燥時、右側が湿らせたものだ。多分、以前何度も観察したニワスギゴケ属 Pogonatum の蘚だろうと思い、現地での生態写真は撮影しなかった。背丈は6〜8cm、乾燥すると巻縮する。葉は長さ6〜8mm。
 最初にルーペで葉の縁をみた(b)。全周にわたって鋭い歯があり、中肋上部背面にも疎らに歯がある(d)。透明な鞘部の上半部にも歯がある(e)。葉身細胞は、類円形〜丸みを帯びた多角形で、長さ10〜18μm。腹側の薄板を上面から見ると、楕円形の細胞が並び、一部は2細胞に分裂している(g)。薄板を一枚ずつにバラしてみると、2〜3細胞の高さで、上面は比較的平滑である(h)。葉の中程を横断面で切り出してみた(i)。薄板は高さ2〜3細胞で、端細胞は平滑で丸みを帯びている(j)。同じ葉で切り出し位置をかえると、一部では、薄板の端細胞が分裂して2細胞となっている。これは、薄板上面から見たもの(g)と符合する。
 今朝は時間的ゆとりがあったので、葉の薄板をバラしたあと(l)、薄板を取り除いた腹面の細胞の並びを眺めてみた(k)。いわば写真(g)の底の部分が写真(k)である。写真(l)のようにバラした薄板を実体鏡の下で一枚とりだして顕微鏡でみたものが、写真(h)である。

 ルーペで見たときに、コセイタカスギゴケ Pogonatum contortum だろうと見当がついたが、念のために薄板の様子を確認した。でも、翼部上半の縁に歯をもったPogonatum はコセイタカスギゴケ以外に知られていないのだろうか。