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[標本番号:No.317   採集日:2007/08/25   採集地:長野県、富士見町]
[和名:エゾチョウチンゴケ   学名:Trachycystis flagellaris]
 
2007年9月12日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 長野県の入笠山の標高1,815m近辺で、湿地の腐木から顕著な無性芽(c)をつけたチョウチンゴケ科の蘚が大きな群落を作っていた(a, b)。エゾチョウチンゴケ Trachycystis flagellaris だろうと思ったが、念のために採取して観察した。
 茎は立ち、高さ3cm前後、やや疎らに葉をつけ、茎頂の生殖器官の脇から、細長い小枝状の無性芽をつける。葉は楕円状披針形で(d)、中肋が葉頂に達し、葉の基部が茎に長く下延し(e)、葉縁には明るい色の舷があり(f)、二重になった歯をつける(g)。
 葉身細胞は、葉の中央部では丸みを帯びた方形〜多角形で、長さ8〜15μm、葉基部では矩形で、長さ15〜25μm(h)、厚膜で背腹両面に大きな乳頭がある(i)。葉縁のでは、複数細胞層の厚みの舷となる(j)。茎と無性芽の横断面を切りだした(k, l)。

 間違いなくエゾチョウチンゴケだった。フィールドでは、無性芽、葉縁の舷と双生の歯、葉身細胞の乳頭を確認すれば、すぐに同定はできるのだろう。この蘚に出会ったのは、数回目だが、先に日光で6月に採取した標本(No.248)で詳しく観察しているので、ここでは簡略化した。