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[標本番号:No.334   採集日:2007/09/09   採集地:群馬県、嬬恋村]
[和名:スギゴケ   学名:Polytrichum juniperinum]
 
2007年9月14日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 群馬県嬬恋村の標高1,400mあたり、ミズナラとシラビソの混交林の腐植土にスギゴケの仲間がややまばらな群落を作っていた(a, b)。乾くと葉が茎に密着する(c)。葉縁は全縁で、葉のへりが腹側に覆い被さるように折れ曲がっている。
 茎は高さ6〜10cm、ほとんど分枝はない。葉は8〜12mm、卵状披針形の基部から披針形に伸び、先端は褐色の芒となり、芒の長さは葉身部の1/8〜1/10で歯がある(d〜f)。基部には大きく鞘部が発達している。取り外した葉は丸まって卵状基部がわかりにくい(d)。
 葉を基部の鞘部(g, h)と、中間部(i, j)で横断面を切りだしてみた。基部では葉の腹面のラメラがほとんどないか、あっても2〜3細胞の高さ。それに対して、葉の大部分では、6〜8細胞の高さがあり、先端細胞はフラスコ型(i, j)。ラメラを縦断面でみても、先端は乳頭状に波打つ(k)。
 翼部の細胞は長い矩形〜線形で、縦横比は15〜23くらいとなり、細胞長は80〜110μm、幅は6〜12μmほどある。茎の断面は何層かに分化している。

 現地でルーペで見たとき、スギゴケのように思えたが、葉の基部から鞘部にかけて、白色の細かい糸状の組織があった。しかし、観察結果は、スギゴケ Polytrichum juniperinum を示唆している。乾燥すると葉が茎に接着すること、中肋が芒となって突出すること、全縁の葉身部は内側に折り畳まれて薄板を被うこと、鞘部の細胞が長い矩形〜線形であること、薄板が6〜8細胞の高さで頂細胞がフラスコ型をしていること、などからスギゴケに間違いなさそうだ。