Top  観察覚書:INDEX back


[標本番号:No.335   採集日:2007/09/15   採集地:群馬県、嬬恋村]
[和名:ハリスギゴケ   学名:Polytrichum piliferum]
 
2007年9月17日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 土曜日(9/15)に群馬・長野県境の湯ノ丸山に登った。標高1,800〜2,000mあたり、陽当たりの良い登山道脇の石や隙間に、見慣れないスギゴケの仲間がやや疎な群をなしていた(a, b)。
 茎は長さ3〜4.5cm、枝分かれはなく、緑色の葉が茎の上部に集まってつき、その直下には褐色の葉が集まっている。乾燥すると葉が茎に密着する(c)。茎の先端は透明な毛が長く伸びている(b, d)。ルーペで見るまでもなく、白色の毛はよくわかる(b)。
 葉は長さ2.5〜4mm、卵状の鞘部から鈍い披針形で伸び、葉先は透明な芒となって長く伸びる(e, f)。透明褐色の鞘部の長さを1とすると、緑色の葉身中央部の長さが2、透明な芒の部分の長さが1くらいのものが多い。芒の部分は牙状の歯に被われている。葉の葉身部は、両縁が薄板を被うように腹側に折り畳まれ、葉縁は全縁。
 鞘部の葉身細胞は、矩形で、長さ30〜80μm、幅10〜20μm、縦横の比率は3〜6:1くらいとなる。葉の各部と茎の横断面を切りだしてみた(h)。葉身中央部の薄板は、6〜7細胞の高さで、端細胞は横断面でフラスコ型(i, j)。薄板の縦断面をみると、表面は細かく波打ったように凸凹している(k)。鞘部では、薄板はほとんど発達せず、わずか1細胞の高さしかない(l)。

 高山帯の陽当たりの良いところに生え、透明で長い芒をもち、葉鞘部に矩形の細胞をもつことなどから、ハリスギゴケ Polytrichum piliferum に間違いなさそうだ。