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[標本番号:No.325   採集日:2007/08/26   採集地:長野県、小海町]
[和名:ミヤマスギゴケ   学名:Polytrichastrum alpinum]
 
2007年9月26日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日と同様に北八ヶ岳白駒の池周辺、標高2,100m付近で採取したスギゴケの仲間を観察してみた(a, b)。茎は長さ6〜10cm、基部近くでしばしば枝分かれし、中程から上に葉をつける。茎の途中には、前年度の雄花の痕跡(?)が随所に残る(d)。乾くと葉が枝に密着する(d)。葉は長さ7〜9mm、淡褐色の鞘部から、披針形に伸び、鞘部以外の縁には鋸歯がある(e, f)。
 葉の腹面は、葉縁近くまで広く薄板に覆われる(g)。薄板は5〜6細胞の高さで、端細胞の上面は内腔とほぼ同じ厚みを持ち、釣鐘形で、表面は多数の乳頭で覆われる。葉の横断面でみても、縦断面で見てもこれは明瞭にわかる(h〜j)。鞘部の葉身細胞は、細長い矩形〜多角形の部分(k)から、端がやや突出した紡錘形の部分(l)に続く。

 乾いても葉が巻縮せず茎に接着することから、スギゴケ属 Polytrichum ではないかと感じていた。しかし、図鑑のスギゴケ属には、薄板の端細胞に乳頭を持つものや、鞘部の細胞に微突起をもつものは記されていない。となると、ニワスギゴケ属 Pogonatum となる。
 ニワスギゴケ属の検索表をたどってみると、ミヤマスギゴケ Pogonatum alpinum という種が記されている。採取した標本には朔がついていなかったので、朔歯の数は確認できなかったが、どうやらミヤマスギゴケとしてよさそうだ。
 図鑑によれば、「この種はスギゴケ属とニワスギゴケ属の中間の形質をそなえ、しばしばスギゴケ属にいれられる」とある。ここでは、Iwatsuki "New Catalog of the Mosses of Japan" (2004) にしたがって、Polytrichastrum alpinum という学名を採用した。