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[標本番号:No.397   採集日:2008/03/22   採集地:千葉県、君津市]
[和名:チヂミカヤゴケ   学名:Macvicaria ulophylla]
 
2008年3月28日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 今月22日に千葉県君津市の城址で採取した苔類を観察した。標高120m、尾根スジの半日陰地で樹幹基部についていた(a, b)。ルーペでみると、斜上する茎についた葉は著しく波打っている(c)。茎は長さ2〜3cm、不規則に分枝し、長さ3〜10mmの枝を出す。
 葉は乾いても湿っても同じように波打ち、全縁で葉先は鈍頭(d, e)、倒瓦状に密につく。背片は卵形、腹片は舌形で全縁、鈍頭(f〜l)。背面(f, h, j)、腹面(g, i, k)をいろいろに撮影してみた。
 
 
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 葉身細胞は丸味を帯びた多角形で、長さ20〜40μm、薄膜でトリゴンは比較的大きく、表面は平滑で、楕円形の油体が多数みられる(m)。苞葉は葉と同じような形で、腹片も腹葉も相対的にやや大きい(n)。一つの花被に8〜10の造卵器が見られる(n, o)。胞子を飛ばしきった朔がいくつかついていた(p)。よく見ると、弾糸が残っていたが、胞子はほとんど残っていなかった(q, r)。

 クラマゴケモドキ科に間違いなさそうだ。属への検索表をみるとチヂミカヤゴケ属に落ちる。この仲間は国内では1種しか知られてないようだ。チヂミカヤゴケ Macvicaria ulophylla についての説明を読むと、観察結果とほぼ一致する。