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[標本番号:No.415   採集日:2008/04/15   採集地:栃木県、佐野市]
[和名:オオバチョウチンゴケ   学名:Bryhnia novae-angliae]
 
2008年4月28日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 栃木県前日光に位置する標高400mあたり、川に沿った林道脇の濡れた石垣に大形で目立つ蘚類がついていた(a)。ちょうど林道に支流が流れ込み、周辺一帯はジメジメしている。
 大形の硬いイメージのチョウチンゴケ科の蘚は、直立する茎と、不規則に枝分かれしてはう茎からなる。匍匐茎は水平に葉を展開するが、直立する茎は長さ3〜5cmで放射状に葉をつける。乾燥すると葉は巻縮する(b)。
 直立茎の葉は、広卵形〜広楕円形で、長さ8〜10mm、先端は円頭で葉頂がわずかに微突起をつけ(f)、葉縁には数細胞列からなる舷をもち、多くは低い小さな歯がある(d, e)。歯の全くない葉もあり、いずれも一本の太い中肋が葉頂に達する(c)。
 葉身細胞は大形の六角形で、長さ60〜90μm、幅35〜45μm、膜は薄く平滑(h)。中肋のすぐ脇の細胞は特に大きく発達してはいない(g)。葉の横断面を数ヶ所でみた(j)。葉が大きいので、横断面を顕微鏡ではなくルーペでみただけでも、中肋の様子が概ねわかる(i)。中肋にステライドはなく、中心束の様な構造がみられる。葉縁の舷の部分の横断面をみると、やや厚膜で小さな細胞が連なる(k)。茎の横断面は三層からなり、よく発達した中心束がみられる(l)。

 ツルチョウチンゴケ属 Plagiomnium に間違いないだろう。検索表をたどるとオオバチョウチンゴケ P. vesicatum に落ちる。種の解説を読むと、観察結果とほぼ一致する。それにしても、このオオバチョウチンゴケの葉はとても大きく硬かった。また、老熟しているのか、干からびかけていたのか不明だが、葉緑体が抜けて白色化してしまった葉がやけに目立った。