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[標本番号:No.436   採集日:2008/05/04   採集地:福島県、下郷町]
[和名:コクサゴケ   学名:Dolichomitriopsis diversiformis]
 
2008年7月1日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
 もう2ヶ月も前になるが、5月4日に福島県の標高620m、河原の転石をマット状に覆っていたコケを持ち帰っていた(a〜c)。今日やっとこのコケを観察することができた。一次茎は細く岩の上をはい、二次茎は不規則に樹状に分枝し、枝は葉を含めて幅1.2〜1.5mm(d)、葉は乾燥する茎に接し(e)、湿るとやや展開する(g)。枝先はボテっとしてあまり細くならない。
 葉は長さ1.5〜2mm、卵状披針形で、舟状に凹み、葉頂は細く尖り、周囲には微細な歯があり、中肋が葉の2/3あたりに達する(g, h)。葉身細胞は、長楕円形で、壁は厚く、長さ15〜25μm(k)、葉頂付近ではやや短く(i)、葉上半部の縁では10〜12μmの矩形〜楕円形(j)、翼部では丸味を帯びた方形〜矩形(l)。葉の横断面を、中央部あたりと基部付近で切り出した(m, n)。茎の横断面をみると、弱い中心束があり、表皮細胞は厚壁の小さな細胞から構成される(o)。

 トラノオゴケ科 Lembophyllaceae のイヌエボウシゴケ属 Dolichomitriopsis の蘚類ではないかと思う。朔をつけた個体がなかったので、確実性は薄いが、コクサゴケ D. diversiformis ではあるまいか。図鑑には「山地の樹木に着生する」とあるが、この標本は、山地の河原の乾いた石の上に着いていた。コクサゴケについては、いまだに特徴が掴めない(標本No.221同No.199)。