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[標本番号:No.442   採集日:2008/06/02   採集地:三重県、亀山市]
[和名:オオシラガゴケ   学名:Leucobryum scabrum]
 
2008年7月6日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 6月2日に三重県亀山市で、シラガゴケ科 Leucobryaceae の蘚類を採集した(a, b)。多分オオシラガゴケ Leucobryum scabrum だろうと思い、そのまま放置してあった。今朝は、その標本を箱にしまう前に、少していねいに観察した。
 標本はすっかり乾燥していたが、水で戻すと緑色が濃くなった(c)。植物体にツヤはなく、茎は長さ3〜4cm、わずかに分枝し、やや横に這うような形で立ち上がる。乾燥しても葉は茎に密着したり、縮れることはない。葉は先の方が内曲して筒状となっている。
 葉は披針形で、長さ8〜10mm、葉先背面には透明な乳頭があり(d, e)、見た目の印象も葉裏がざらついて見える。葉先裏面の細胞を顕微鏡でみた(f)。サフラニンで染めてもあまり見やすくはならないが、細胞の上側が突起となっている(g)。同様に葉の中央部の細胞を合焦位置を変えてみた(h)。茎ごと葉をカミソリで次々切り出した(i)。このうちから薄手のものだけを残した(j)。
 
 
 
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
 切り出した横断面のうち、葉の基部と思われるものや(k)、中央部らしいもの(l)、葉先付近などを顕微鏡で確認した。背腹中央部の葉緑細胞を挟んで、基部では複数層の透明細胞厚があり、葉身中央〜葉先では1層の細胞からなる。横断面の中程はくびれたようになっている。葉の縁は透明で、まるで舷をもっているかのように見える(m)。茎の横断面に中心束はなく(n)、表皮はやや厚壁の細胞が並んでいる。

 朔をつけた個体はなかったが、シラガゴケ属の蘚類に間違いなさそうだ。葉先付近の背面に透明な乳頭が多数あってざらついてみえ、植物体が大形であるなどことから、オオシラガゴケ L. scabrum だろう。