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[標本番号:No.463   採集日:2008/06/02   採集地:三重県、亀山市]
[和名:アブラゴケ   学名:Hookeria acutifolia]
 
2008年7月7日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 6月2日に三重県亀山市の川沿いの湿地でクモノスゴケなどの苔類と混生していたアブラゴケを見つけた(a)。凾燒ウ性芽もつけていなかったが、久しぶりに出会ったので持ち帰っていた。今日このアブラゴケを覗いて楽しんだ。ふだんとやや趣を変えた視点で観察した。
 混生していた苔類を取り除いたら、のこったアブラゴケはわずかになった。茎は長さ2.5〜3cm、葉を6列に扁平につける(b)。葉は卵形で、長さ3.5〜5mm、全縁で中肋はない(c, d)。茎の先の小さな葉では、長さ1.5mmにも満たないものが多数ある(c)。
 葉先をよく見ると、多くは広く尖った状態だが(e)、一部に無性芽を作り始めているものがあった(f)。葉の細胞は大きな扁平六角形で、長さ80〜150μm、幅35〜50μ、ルーペでみると興味深いものが見えた。葉緑体の分布状態に3パターンがある。このため、目のようにみえたり(d, g)、ぼやけた状態にみえたり(h)、網目模様にみえたりする(i)。
 ルーペで葉身をよくみると、大きな細胞が丸味を帯びて膨らんでみえる(j)。葉身細胞の横断面をみるとこれは納得できる(k)。茎の横断面は、薄膜で大きな細胞が未分化な状態で円形を作っている(l)。
 アブラゴケ Hookeria acutifolia は、他に似た蘚類がないことや、特徴的な姿をしているので、顕微鏡を使わずとも楽に同定できる、わかりやすいコケだと思う。