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[標本番号:No.482   採集日:2008/07/20   採集地:山梨県、鳴沢村]
[和名:エビゴケ   学名:Bryoxiphium norvegicum ssp. japonicum]
 
2008年8月3日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 6月24日に採集のコケがまだいくつか残っているが、先月20日に富士山から、久しぶりにエビゴケを持ち帰ったので、気分転換にこれを観察した。富士山では、溶岩壁の至るところにエビゴケがついているが(a, b)、この日は若い緑色のもの(d)ばかりでなく、白色の絹糸をまき散らしたような姿のものが目立った(c)。
 茎は2〜3cm、乾いても湿っても、葉の様子に変化はない。なお、透明な芒状に伸びた部分は長さに入れていない(e)。茎には多くの葉が規則正しく二列に扁平につき(g)、先端の苞葉の先は長く、透明な糸状の部分は長さ2〜4cmに及ぶほどだった(f)。
 葉は、披針形で、長さ1.5〜2mm、中肋が先端から突出する(i, j)。ホウオウゴケ類のように、葉は茎を抱き、腹翼の部分は、葉頂に達し、上端は丸味を帯びている(k, l)。葉縁は全縁。背翼は目立たぬほど小さい。苞葉は芒の部分を除くと、長さ0.5〜0.8mmと短い(i, m)。
 
 
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 葉身細胞は、中肋付近では大きな矩形、葉縁では線形となり、中肋から縁にかけて、全体として細胞幅は次第に細くなり、細胞長は次第に長く変わっていく(n〜p)。細胞壁は厚い。葉の横断面をみると、数細胞の高さの背翼がみられる(q, r)。茎の横断面は楕円形で、中心束がある(r)。表皮細胞は厚壁で、比較的小さな細胞から構成される。

 エビゴケについては、昨年5月に日光で採取したもので、凾ネども観察している(標本No.233)。今回採取した標本では、苞葉の先から芒状に長く伸びた部分が、まるでコケの上に絹糸をまき散らしたような印象を受けたので(c)、採集したものだった。