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[標本番号:No.540   採集日:2008/10/25   採集地:奈良県、川上村]
[和名:カビゴケ   学名:Leptolejeunea elliptica]
 
2008年10月30日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 奈良県川上村、標高460mあたりの沢沿いで、照葉樹の葉上に着生していたカビゴケを観察した(a〜d)。カビゴケについては水と森の源流館の木村全邦さんにていねいに教えていただいた。図鑑などには独特の強い匂いがするとあるが、臭覚が鈍いのかよく分からなかった。
 植物体は葉の上面に着生し、茎は長さ8〜12mmで、不規則に分枝し、倒瓦状で接在〜離在状に葉をつける(e, f)。背片は長楕円形で全縁、5〜15の眼点細胞がある(j)。腹片は背片の1/3〜2/5の長さ、楕円形で切頭、先端隅に歯がある(g)。腹葉は、離在し、楕円形の二隅から長い二つの角を伸ばす(h, i)。葉身細胞は多角形で、長さ18〜25μm、トリゴンはとても小さい。眼点細胞には円形で巨大な油体が一つある。それ以外の葉身細胞には、小さな微粒〜油滴状の油体が5〜8個ある(k, l)。腹葉の基部からは仮根らしきものが多数でる。

 カビゴケの腹葉の形態について、保育社の図鑑では「独特で、鬼の面のような形をしており」とあるが、確かにそうみえる。小さくてコントラストが弱いので、サフラニンで染色してみた(i)。背片もサフラニンで染めてみた(l)。花被をつけた個体を探してみたが、見つからなかった。背腹片と腹葉を茎から取り外そうと何度か試みたが、葉の一部が潰れてしまい、うまくいかなかった。小さな苔類の解剖はむずかしい。