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[標本番号:No.557   採集日:2008/10/12   採集地:群馬県、草津町]
[和名:ヤナギゴケ   学名:Leptodictyum riparium]
 
2008年12月10日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 10月12日に草津白根山の頂近くの湿原(a)の道脇でホソバミズゴケを採集した(alt 2000m)。そのホソバミズゴケに数十個体のヤナギゴケ科の蘚類が混生していた(b)。ミズゴケ観察を優先したので、分離した標本はすっかり乾燥していた(c)。
 混生していた蘚類は、茎や葉の大きさや太さ長さに非常に大きなばらつきがある(d)。そこで、もっとも中心的なサイズのものを基準に観察することにした。茎はわずかに分枝し、長さ5〜8cm、葉をまばらにつけ、葉を含めた茎の太さは0.8〜1.2mm。先端部が非相称にわずかに曲がったものが多い。細い茎の小さな個体の葉を下段に配して撮影した(f)。
 葉の長さは1.5〜1.8mm、卵状披針形で葉先は漸尖し、葉縁は全縁で、中肋は一本で弱く葉の中ほどを超える位置まで達する(g, h)。一方、細くて小さな個体の葉は、平均的な葉と比較して圧倒的に小さい(f)。大きな葉も小さな葉も、ともに葉身細胞の形やサイズは変わらない。
 葉身細胞は線形で薄壁、長さ50〜70μm、幅5〜8μm、表面は平滑(i)。翼部の発達は悪く、薄壁で方形の細胞がいくつか並ぶ(j)。葉の横断面で中肋にはステライドはなく、基部の中肋はやや幅広だが、葉の中央部付近ではとても弱い(k, l)。
 
 
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
 茎の横断面には弱い中心束があり、表皮細胞はわずかに厚壁の小さな細胞からなる(m)。分枝する茎の基部や小枝のもとになる部分などを中心に、偽毛葉を探したがよくわからなかった(n)。また、先端から仮根を出している葉がやたらに目立った(o, p)。

 平凡社図鑑でヤナギゴケ属の検索表をたどるとヤナギゴケ Leptodictyum riparium に落ちる。解説を読むと間違いなさそうだ。