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[標本番号:No.657   採集日:2009/06/09   採集地:千葉県、君津市]
[和名:スギバゴケ   学名:Lepidozia vitrea]
 
2009年6月18日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(a, b) 植物体、(c, d) 標本の腹面、(e) 腹葉、(f) 葉、(g) 葉の葉身細胞、(h) 腹葉、(i) 腹葉の葉身細胞、(j) 茎の横断面

 今月9日に千葉県房総半島君津市の城趾公園で採集した苔類を観察した。植物体は腐食土や朽ち木の上に密なマットを作っていた(a, b)。茎は長さ1.5〜3cm、2〜3回不規則羽状に分枝し、ときに枝先が鞭状に伸びる。葉を倒瓦状に茎に斜めにつけ、葉を含めた茎の幅は0.3〜0.5mm。
 葉は接在〜離在し、葉長の1/2あたりまで3〜4裂し、全体は四角形で、各裂片は披針形。裂片の基部は2〜3細胞幅。葉身細胞はやや厚膜でトリゴンはなく、表面は平滑。油体は各細胞に4〜10あり、類球形〜楕円形あるいは紡錘形で、表面は微粒の集合(f, g)。
 腹葉は離在し、ほぼ四角形で葉長の1/3〜1/4あたりまで3〜4裂し、各裂片は披針形で基部の幅は1〜3細胞、表面は平滑で、トリゴンはない。腹葉の油体は、葉のそれらとほぼ同様(h, i)。茎の横断面は円形〜楕円形で、表皮細胞は他よりやや大形(j)。

 ムチゴケ科 Lepidoziaceae の苔類に間違いない。保育社図鑑の検索表をたどると、スギバゴケ属 Lepidozia に落ちる。さらに種への検索表をたどると、スギバゴケ L. vitrea となる。保育社図鑑も平凡社図鑑も、種の解説は非常に簡略であるが、観察結果とほぼ合致する。服部・水谷(1958)の詳細な記載と図版をみると観察結果とおおむね一致する。