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[標本番号:No.710   採集日:2009/08/20   採集地:埼玉県、秩父市]
[和名:ケフタマタゴケ   学名:Apometzgeria pubescens]
 
2009年9月4日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a) 転石から垂れ下がる植物体、(b) 乾燥状態、(c) 湿った状態、(d) 近接:雌枝らしきものがみえる、(e) 背面:毛に合焦、(f) 背面:輪郭部に合焦、(g) サフラニンで染色:毛に合焦、(h) 同左:輪郭部に合焦、(i) 葉身細胞、(j) 葉状体横断面、(k) 中肋部、(l) 毛

 今年度の日本蘚苔類学会第38回埼玉大会の3日目、8月20日に埼玉県秩父市の荒川上流で行われたフィールド観察会の折にいくつかのコケを採集した(alt 760m)。
 ケフタマタゴケ Apometzgeria pubescens は、紛らわしい種が他になく、野外でもすぐに分かる種のようだ。沢沿いの小径脇、日陰の転石や樹幹基部に群生し、石からカーペット状に垂れ下がっていた(a)。ルーペでみてすぐにそれと分かった。
 採集するにあたって、雌枝や雄枝のついた株を探したが、現地ではよくわからなかった。採集した標本を実体鏡でみていると、腹面から短い枝がでていた。どうやらこれが雌枝のようだ(d)。葉状体は、長さ1〜3cm、幅0.5〜1.2mm、基物上をはい、不規則に羽状に分枝する。葉状体の背腹には一面に長い毛が密生している(e〜h)。中肋部は極めて明瞭で、翼部とは明瞭に区別できる。中肋部の横断面で、髄部と表皮部は分化していない(k)。翼部は1細胞層からなり、幅12〜20細胞。葉身細胞は背面からみて六角形で、トリゴンはなく、細胞壁の一角から長毛がでている。