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[標本番号:No.784   採集日:2009/10/14   採集地:岩手県、一関市]
[和名:イボミズゴケ   学名:Sphagnum papillosum]
 
2009年11月22日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a, b) 植物体、(c) 採取標本、(d) 茎と茎葉、(e) 茎の表皮、(f) 茎の横断面、(g, h) 茎葉、(i) 茎葉の上部、(j) 茎葉中央、(k) 枝の表皮、(l) 枝の横断面

 栗駒山登山道の途中の湿地にミズゴケ節 Sect. Sphagnum のミズゴケが出ていた。茎の途中から複数のきのこが出ていたので、ホストとしてそれらを持ち帰っていた。茎や枝の表皮細胞には螺旋状肥厚があり、枝葉の表裏を実体鏡でみたところ、葉緑細胞が何となく腹面側に開いていたのでオオミズゴケ S. palustre だろうと思っていた。
 採取したのは単純にきのこがついていた宿主とその周辺の何本かだった。特に良い状態のものや整った姿のものを選んだわけではなかった。結果として、茎葉の大部分は汚れがひどかったり崩れていた(g, h)。枝葉の透明細胞はいちおう検鏡したが、詳細に合焦位置をずらしてまでは見なかった。したがって、なんの疑いもなくオオミズゴケだろうと思い込んでいた。
 きのこの同定が済んだので、宿主のミズゴケを標本箱にしまう前に、念のために枝葉の横断面をきってみた。すると、どうやら透明細胞と葉緑細胞の境界面に細かく密な乳頭があることに気づいた(s, t)。油浸100倍の対物レンズで再確認してみると間違いない(u)。
 
 
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
(s)
(s)
(t)
(t)
(u)
(u)
(v)
(v)
(w)
(w)
(x)
(x)
(m, n) 枝葉、(o) 枝葉:背面上部、(p) 同前:背面中央、(q) 同前:腹面上部、(r) 同前:腹面中央、(s〜u) 枝葉の横断面、(v〜x) 枝葉の透明細胞と葉緑細胞の境界

 どうやらイボミズゴケ S. papillosum らしいと気づいた段階で、ようやく記録写真をとることにした。あらためて各部を切り出して検鏡・撮影して、アップしたのが今日の画像だ。枝葉を背面側から合焦位置を下げながら検鏡すると、透明細胞と葉緑細胞の境界面がざらついてみえる。なお、この日きのこの宿主としてミズゴケ節の蘚類をいくつか採取したが、この1標本(No.784)以外はすべてオオミズゴケだった。