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[標本番号:No.834   採集日:2010/01/05   採集地:東京都、奥多摩町]
[和名:ヤマトクラマゴケモドキ   学名:Porella japonica]
 
2010年1月9日()
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(a) 植物体、(b) 標本、(c) 背面、(d) 腹面、(e) 腹面:サフラニン染色、(f) 背片と腹片、(g) 腹葉、(h) 背片の葉身細胞、(i) 腹葉の葉身細胞、(j) 茎と葉の横断面、(k) 雌花、(l) 雌苞葉と造卵器

 東京都奥多摩町の日原鍾乳洞近くで、岩壁や河原の石灰岩にクラマゴケモドキの仲間がいたるところで厚いマットを作っていた(alt 530m)。この仲間はルーペで腹面をみると属レベルまではすぐに分かる苔類だ。採取した一つを観察した。
 茎は長さ3〜6cm、倒伏または斜上し、やや羽状に、数回分枝する。葉は背片と腹片からなり、背片は大きく倒瓦状に重なり、腹片は小さく茎に平行につく。背片は長さ0.5〜0.8mm、卵形で円頭〜切頭、葉縁は全縁ないし1〜4歯があり、背縁基部は円く張り出して茎を覆う。腹片は長さ0.2〜0.3mm、狭い舌形で縁は流下せず基部に1〜3歯があり、先端は切頭で2歯があり、縁は全縁。キールは非常に短い。葉身細胞は多角形で、長さ15〜25μm、厚膜でトリゴンは大きい。油体は米粒形で各細胞に15〜25ある。腹葉は茎とほぼ同幅で卵形〜台形、長さ0.3〜0.5mm、基部は茎にやや流下し、先端には2歯がある。雌花は短い側枝につく。仮根が腹葉の基部から出る。

 花被をつけた個体はなかった。クラマゴケモドキ科 Porellaceae の苔類に間違いなさそうだ。保育社図鑑の検索表からはヤマトクラマゴケモドキ P. japonica に落ちる。種の解説を読むと、観察結果とほぼ一致する。図鑑に掲載された図の背片と腹片には多数の歯があるが、観察した標本では歯は少なかった。