Top  観察覚書:INDEX back


[標本番号:No.0940   採集日:2010/05/16   採集地:山梨県、鳴沢村]
[和名:シモフリゴケ   学名:Racomitrium lanuginosum]
 
2010年7月18日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
(a, b) 植物体、(c) 標本:乾燥時、(d) 標本:湿時、(e) 乾燥時、(f) 湿時、(g, h) 葉、(i) 葉身細胞、(j) 葉基部の細胞、(k) 葉上部の細胞、(l) 葉の先端、(m, n, o) 葉の横断面、(p) 茎の横断面、(q, r) 雌苞葉

 富士山の五合目付近の溶岩地にシモフリゴケが朔をつけていた。2年ほど前の夏にも同じように朔をつけたシモフリゴケを観察している(標本No.479)。今回は雌苞葉を含めて改めて観察し直してみた。配偶体についての文字による記述は省略した。
 雌苞葉は長さ2.2〜3.2mm、全体が鞘状となり、細くなって伸びる葉の先端は透明な芒となる。葉上部の縁には乳頭もなければ透明な帯状の部分もない。配偶体本体の葉より幅広で長い。葉身細胞は線形で長く、膜のくびれもあまり目立たない。
 朔柄は長さ3〜3.5mm、表面は乳頭に覆われる。朔歯は16枚、各々細長い披針形〜線形で、基部まで深く二裂し、まるで32枚の朔歯があるかのように見える。口環がよく発達している。前回観察したときには朔の気孔を確認できなかったが、今回は見つけることができた。気孔は、朔の基部と柄との境界に近い部分にのみあって、わかりづらかった。胞子は径12〜18μmの球形。
 
 
 
(s)
(s)
(t)
(t)
(u)
(u)
(v)
(v)
(w)
(w)
(x)
(x)
(y)
(y)
(z)
(z)
(aa)
(aa)
(ab)
(ab)
(ac)
(ac)
(ad)
(ad)
(s) 雌苞葉中央部縁の細胞、(t) 胞子体、(u) 朔柄、(v) 朔柄の表面と横断面、(w, x) 朔と蓋、(y) 朔歯、(z) 朔歯基部、(aa) 朔歯先端、(ab) 口環、(ac) 朔基部の気孔、(ad) 胞子

 シモフリゴケはとてもわかりやすい蘚類だと思う。本標本は、非常に過酷な気象条件の場所にハリスギゴケや地衣類などと隣り合って群生していた。