Top  観察覚書:INDEX back


[標本番号:No.0970   採集日:2010/06/12   採集地:長野県、山ノ内町]
[和名:ミヤマスギバゴケ   学名:Lepidozia subtransversa]
 
2010年9月3日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a, b) 植物体、(c) 標本:背面、(d) 標本:腹面、(e) 背面、(f) 腹面、(g) 葉と腹葉、(h) 葉、(i) 腹葉、(j) 葉先の葉身細胞、(k) 葉掌部の葉身細胞、(l) 枝の横断面

 6月12日に長野県の志賀高原で採集した苔類の二つ目を観察した。標高1,600mあたりの針葉樹林内で、洞の入り口付近のジメジメした岩や腐植土上に、ミズゴケ類などと一緒に、垂れ下がるようにして群生していた。茎は長いものでは6cmを超えていた。
 茎は幅0.3〜0.7mm、葉を含めた幅は0.6〜1.0mm、2〜3回羽状に分枝し、茎下部から出る枝の先は鞭状となって伸びる。茎の上部の葉は接在し、中程から下部の葉は離在する。枝葉は離在〜接在する。鞭枝の先には仮根をつけたものがある。
 葉は茎に斜めにつき、葉長の1/2まで三裂〜四裂し、裂片は三角形で、基部の幅は6〜9細胞。葉身細胞は多角形で長さ20〜40μm、厚壁でトリゴンはなく、表面は平滑。腹葉は離在し、四角形で1/3〜1/2まで四裂し、裂片は披針形で、裂片基部の幅は4〜6細胞。

 採取後早い時期に観察しなかったこともあって、油体の様子はわからない。いずれにせよ、スギバゴケ属 Lepidozia の苔類には間違いない。平凡社図鑑の検索表からは、ハイスギバゴケ L. reptans とミヤマスギバゴケ L. subtransversa の二つが候補にあがる。両者の解説からは、ミヤマスギバゴケと思われる。なお、平凡社図鑑にはミヤマスギバゴケについての解説がないが、保育社図鑑には両者の解説がある。