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[標本番号:No.0998   採集日:2010/10/11   採集地:高知県、本川村]
[和名:ホソバミズゼニゴケ?   学名:Pellia endiviifolia?]
 
2010年10月30日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
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(a, b) 植物体、(c, d) 標本、(e, f) 腹面、(g) 葉状体の翼部、(h, i) 葉身細胞、(j, k, l) 葉状体の横断面、(m, n; o, p) 葉状体の横断面、(q) 葉状体の中肋部近くの横断面、(r) 葉状体の翼部の横断面

 10月11日に高知県の自然公園に遊んだ。幅広い川に沿った渓谷の標高600〜700m付近でいくつかの蘚苔類を採取した。蘚類は紙袋に入れ、苔類はチャック付きポリ袋に入れて持ち帰った。今日ここで取り上げた苔類は、川辺の湿った土の斜面に群生していた。
 現地では、ホソバミズゼニゴケ Pellia endiviifolia のように思えたので、当初採取するつもりは無かった。しかしよく見ると、群れを構成する一つ一つの個体がやけに小さい。さらに、ほとんど二叉状分岐をせず、中肋部がやけに膨らんでいる。現地で膨らんだ中肋部を切ってみると、中が空洞となり中央に軸のようなものが見られたので持ち帰ってきたものだ。
 群れを構成する葉状体のひとつ一つは、長さ1.2〜2cm、幅5〜10mm、翼部の縁は透明感があってやや縮み、中肋部は厚みがあり翼部との境界は不明瞭。中肋部の腹面には仮根が密生している。中肋部の背面側の端は、しばしば包膜のような構造が前端に向かって開いている。腹面をいくら探しても、粘液毛や腹鱗片らしき構造物は見つからない。
 葉身細胞は縁の方でやや小さく、中肋部近くから基部にかけてやや大きな多角形で、トリゴンはない。油体は球形〜楕円形で微細な粒子の集合のように見え、一つの細胞に10〜20個ほどある。葉状体中程から基部の横断面では中肋部に空洞はない。また肥厚した細胞もない。葉状体の中程から先の横断面では、中肋部は空洞となって中央に軸があり、軸は先端に近づくにつれて細くなる。

 ホソバミズゼニゴケとして取り扱ったが、はなはだ自信がない。これまでに見てきた標本などと比較しても、中肋部の様子が異なり、一つ一つの個体が小さい。ミズゼニゴケ属 Pellia ではないのかもしれないが、該当する属や種を見つけることができなかった。