Top  観察覚書:INDEX back


[標本番号:No.1016   採集日:2010/10/12   採集地:高知県、仁淀川町]
[和名:キコミミゴケ   学名:Lejeunea flava]
 
2010年12月9日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a) 植物体のついていた岩、(b, c) 植物体、(d) 標本、(e, f) 背面、(g, h) 腹面、(i) 葉と腹葉、(j) 葉身細胞、(k) 油体、(l) 茎の横断面

 10月12日に高知県仁淀川町の安居渓谷で遊んだ。この折に5〜6点のコケを採集した。今日はそのうちのひとつ、河原の大きな岩の北面についていた苔類を観察した(alt 500m)。茎は長さ6〜12mm、葉を含めた茎の幅は0.8〜1mm。葉の背片は倒瓦状に接在ないし重なり、広く開出し、長さ0.5〜0.8mm、卵形〜楕円形、全縁で円頭。腹片は背片の1/3〜1/5長さで、三角形〜楕円形。茎上部の葉では腹片がさらに小さいかほとんどない。葉身細胞は丸みを帯びた六角形で、やや厚膜、トリゴンは小さいかほとんどない。油体は各細胞に5〜12個あり、類球形〜紡錘形で、微粒の集合。腹葉は類円形で、幅は茎幅の3〜4倍、葉の1/2まで二裂し、切れ込みは狭くU字形になり、縁は全縁。腹葉は腹片をほとんど隠す大きさ。

 花被をつけた個体は見つからなかった。クサリゴケ属 Lejeunea の苔類のようだ。保育社図鑑の検索表をたどると、カマハコミミゴケ L. discreta ないしキコミミゴケ L. flava に落ちる。腹片の長さからはキコミミゴケに落ちる。保育社図鑑からはキコミミゴケ以外の種の可能性も示唆される。種の解説は平凡社図鑑にはなく、保育社図鑑にはある。保育社図鑑の解説をよむと観察結果とほぼ符号する。カマハコミミゴケの可能性も否定できないが、現時点ではキコミミゴケとしておこう。