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[標本番号:No.1020   採集日:2010/10/12   採集地:高知県、仁淀川町]
[和名:フデゴケ   学名:Campylopus umbellatus]
 
2010年12月20日(月)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(a) 植物体、(b) 標本:乾燥時、(c) 標本:湿時、(d) 乾燥時、(e) 湿時、(f) 葉、(g) 葉の中下半部、(h) 葉の先端、(i) 葉の芒直下、(j) 葉の上部、(k) 葉下部の葉身細胞、(l) 葉の翼部、(m, n, o) 葉の横断面、(p) 茎の横断面、(q) 仮根

 高知県仁淀川町の安居渓谷でフデゴケ Campylopus umbellatus と思える蘚類が湿った岩に多数でていた。これまでフデゴケというと日当たりのよいやや乾燥気味の岩に出るものとばかり思っていた。背丈は1〜2.5cmと小さく、茎の先端の葉の付き方は典型的なフデゴケのそれとはやや違うように思えた。フデゴケではないのかもしれないと思って採集したものだ。
 茎の基部でわずかに分枝し、茎の表面は褐色の仮根に被われる。上部の葉は緑色だが、下部の葉は褐色で先端が千切れている。葉はやや幅広の披針形で、長さ4〜5mm、先端は透明な芒となって延び微細な歯をつけ、基部は褐色の大形透明細胞が明瞭な区画を作っている。
 中肋は葉の基部で葉幅の1/3、中央から上部では葉幅の4/5を占め、背面側は縦に筋状の突起を作っている。葉身細胞は菱形〜扁平な菱形で、長さ10〜25μm、薄壁で平滑、葉の基部に近づくと大きくなる。葉基部の細胞は薄膜で大形となり、翼部では褐色の矩形細胞からなる。
 葉の横断面で、背腹両面に明瞭なステライドがあり、背面の細胞は薄板となって突出する。茎の横断面には中心束があり、表皮細胞は薄膜でやや大形。仮根の膜は厚い。

 保育社図鑑と平凡社図鑑の種の説明をよむと、やはりフデゴケにまちがいなさそうだ。朔をつけた個体はなかった。南の方で出会った初めてのフデゴケだった。