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[標本番号:No.1034   採集日:2010/10/13   採集地:高知県、津野町]
[和名:アオギヌゴケ   学名:Brachythecium populeum]
 
2011年1月25日(火)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(a, b) 植物体、(c) 標本:乾燥時、(d) 標本:湿時、(e) 乾燥時、(f, g) 湿時、(h, i) 枝葉、(j) 枝葉の葉身細胞、(k) 枝葉の基部、(l) 枝葉の先端

 高知県の四万十川の源流点周辺で採取したアオギヌゴケ属 Brachythecium の蘚類を観察した。源流点標識のやや上、水流の近くの岩に着いていた(alt 1000m)。茎は岩を這い、随所から出た二次茎ないし枝が斜上し、枝はまばらに分枝する。一次茎の葉はほとんどが崩れていたので観察しなかった。枝は葉を含めて湿時2〜2.5mm幅、乾燥時1〜1.2mm幅、乾燥すると葉がやや縮れて茎に接する。
 二次茎の葉と枝基部の葉とはよく似ていて、長さ1.6〜1.8mm、広三角状卵形〜三角状披針形で、葉にはほとんど縦皺がなく、乾くとわずかに縮み、上半部の葉縁に微歯がある。中肋は葉の先端にまで達する。葉身細胞は長楕円形〜線形で、長さ30〜50μm、幅4〜6μm、薄膜で平滑。翼部はあまり分化せず、縁の周辺に方形の細胞列が並ぶ。葉の横断面では随所にマミラ状となった部分もある。茎の横断面には中心束があり、表皮細胞は小さく厚膜。苞葉の葉身細胞は線形で大きく、長さ70〜90μm、幅6〜10μm、やや厚膜だが、基部では薄膜の長六角形となる。
 
 
 
(m)
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(n)
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(o)
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(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
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(s)
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(t)
(t)
(u)
(u)
(v)
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(m) 枝葉の横断面、(n) 茎の横断面、(o) 朔の基部と苞葉、(p) 苞葉、(q) 苞葉の葉身細胞、(r) 苞葉基部、(s) 朔柄上部、(t) 朔柄上部の表面、(u) 朔、(v) 朔歯

 朔柄は赤褐色で、長さ1.5〜2.5cm、上部表面にのみ多数のパピラがある。朔は短い卵形で、朔歯は二重、各々16枚の朔歯がある。

 先入観を捨てて、平凡社図鑑のアオギヌゴケ属の検索表をたどってみた。観察結果からはすんなりとアオギヌゴケ B. populeum にたどり着いた。種の解説を読むと、観察結果とほぼ符合する。なお、朔は多数つけていたが、成熟した朔は少なく、それらの多くがかなり崩れていたので、朔の観察はやめた。