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[標本番号:No.1164   採集日:2017/02/16   採集地:栃木県、佐野市]
[和名:コハネゴケ   学名:Plagiochila sciophila]
 
2017年3月31日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a〜c) 植物体、(d) 乾燥標本の一部、(e, f) 湿時、(g) 葉、(h) 葉の先端、(i) 葉身細胞、(j) 油体、(k) 葉の断面、(l) 茎の断面

 すでに一ヶ月以上前になるが、2月16日に佐野市の木浦原(alt 360m)にザゼンソウの様子を見に行った折に、周辺に分布していたコケを三点ほど採取してきた。そのうちの一つを今日ようやく詳細に観察してみた。タイ類で、持ち帰った標本に花被はついていなかった。

 コケは薄暗い杉林の斜面の岩や石にゆるやかなマットを作っていた。茎は長さ1〜4cm、基部近くで不規則に分枝する。葉は(おそらく瓦状で)緩く重なり合い、ややゆがんだ卵型で、背の縁はやや外曲し、基部は茎に流下し、葉先は円頭で2〜4歯がある。腹葉の有無は不明瞭。葉身細胞は25〜35μm、薄膜でトリゴンは小さく、五〜七角形で、表面は平滑。油体は一細胞に4〜8個あり、楕円形で、3〜8μm、内部には微粒が密集している。

 採取からかなり日数が経ちカラカラに乾燥していたので、油球はもう残っていないだろうと思っていたが、ありがたいことに油球はしっかり残っていた。花被がついていないことや、乾燥してクシャクシャに重なり合い、いずれが表でいずれが裏なのかはっきりせず、さらに葉がほとんど重なり合わずについているため、瓦状なのか倒瓦状なのは明瞭には分からなかった。
 おそらくハネゴケ科のタイ類だろうと見当をつけて各種の図鑑類にあたってみたところ、ハネゴケ属らしいと思うようになった。さらに、コハネゴケがもっとも近いように思われた。そこで、とりあえずコハネゴケとしたが、この同定は全く自信がない。