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[標本番号:No.1169   採集日:2017/03/28   採集地:栃木県、宇都宮市]
[和名:カガミゴケ   学名:Brotherella henonii]
 
2017年4月6日(木)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(a, b) 植物体、(c) 標本、(d) 標本拡大、(e, f) 葉、(g) 葉の先端、(h) 葉の基部、(i) 葉の中間部の縁、(j) 葉中央部の細胞、(k) 葉翼部の細胞、(l) 茎の断面

 宇都宮市の戸祭山緑地を散策したときに杉の樹幹についていたナガハシゴケ科の蘚類を持ち帰っていた。ちょっと見た目にはカガミゴケ属のようだった。これを観察してみた。

 茎は這い、やや羽状となり平面的に枝をだす。乾燥していても湿っていても形にあまり変化はなく、葉は茎から横に展開する。枝は葉を含めて幅1.0〜1.2mm、枝を除いて茎は幅1.2〜1.5mm。枝葉は卵状披針形で先は細く尖り、長さ1〜1.3mm。茎葉は枝葉と同じ様に卵状披針形で、長さ1.2〜1.5mm。いずれの葉も上半部の縁には鋭い歯があり、中肋はない。葉身細胞は線形で幅4〜6μm、長さ70〜120μm、薄膜で平滑。翼部には薄膜で黄褐色の方形の細胞が一列に並ぶ。茎の断面に中心束はなく、縁の細胞はやや厚膜。

 最初見たときにはヒロハツヤゴケだろうと思ったが、近づいてルーペで見ると葉の先端が漸尖して長く伸び、中肋がなさそうだったので、ヒロハツヤゴケではないと分かり持ち帰って調べてみることにした。どうやらカガミゴケとしてよさそうだ。