Top  観察覚書:INDEX back


[標本番号:No.1186   採集日:2017/06/24   採集地:栃木県、日光市]
[和名:クマノチョウジゴケ   学名:Buxbaumia minakatae]
 
2017年6月26日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
(a) 発生していた倒木、(b〜f) 胞子体、(g) 標本、(h) 朔の先端、(i, j) 朔歯、(k) 内朔歯、(l) 内朔歯の表面、(m) 朔柄の表面:ルーペ、(n) 朔柄の表面:顕微鏡、(o) 朔柄の表面:薄片、(p) 朔柄基部上方の断面、(q) 朔柄上部の断面、(r) 朔柄最下部の断面

 先週の土曜日(6/24)奥日光でクマノチョウジゴケに出会った。かなり腐朽の進んだやや湿った倒木の側面(a)から7〜8本出ていた(b〜f)。倒木表面は苔類に一面に覆われていた。高倍率のルーペで探してみたが、退化した配偶体の葉らしきものは見つけられなかった。
 持ち帰ったサンプルを改めてじっくりと眺めてみたが(g)、やはり若い朔はひとつもなかった。やむを得ず、この老いた朔を観察した。またサンプル数があまりにも少ないので、分解して観察すると後には、無傷の2個体と切り刻まれた残骸が残るばかりになってしまった。数少なくなった胞子体は薬包紙に包んで標本として保管することにした。

 胞子体は高さ5〜15mm。朔は円筒形で水平に近い状態で傾いてつき、長さ4〜6mm、頚はやや膨大となるが不鮮明。朔柄は赤褐色で直立し、長さ3〜6mm、表面は上部から株まで全面にわたって乳頭状突起に覆われる。朔歯は二重で、外朔歯は非常に短く、本サンプルからは上手く分解できなかった。したがって、大きさは形状は不明。内朔歯は白色の膜状で、16枚の突起が屏風状に繋がったような形をしていて、各々の突起の中央部は縦線状となり、条線にそっていくつか穴があり、表面は微細な突起に覆われている。

 残念ながらミイラ状の朔しか採取できなかったので、外朔歯はほとんど崩れて観察できず、蓋に至っては残っているものは一つもなかった。いずれ成熟して新鮮な朔に出会った折に、改めてていねいに観察してみたい。