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[標本番号:No.1192   採集日:2017/07/15   採集地:栃木県、日光市]
[和名:タカネミゾゴケ   学名:Marsupella emarginata]
 
2017年7月14日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
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(l)
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(m)
(m)
(n)
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(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
(a, b) 植物体、(c) 標本:乾燥時、(d) 標本:湿時、(e) 裂開した朔をつけた標本、(f) 標本拡大、(g, h) 葉、(i) 葉の先端部、(j) 葉の基部、(k) 葉中央部の葉身細胞、(l) 油体、(m) 葉身細胞をサフラニンで染色、(n) 裂開した朔、(o) 朔の外側、(p) 朔の内側、(q) 胞子、(r) 残っていた弾糸

 栃木県と群馬県の県境には金精峠がある。昨日、栃木県側の金精トンネル入口左側の沢を遡った。標高1,850mあたりまで遡ったが、目的の蘚類は見つからなかった。周辺の岩には何種類かの苔類が見られた。そこで、最も広範囲にみられた苔類を一種だけ持ち帰ってきた。

 沢の中、少し増水すると水没する位置の岩に密にマットを作っていた。緑色で部分的に赤みを帯びている。茎は長さ0.8〜1.8cm、茎の基部は匍匐し長さ2〜3cm、直立気味に斜上し、わずかに分枝する。葉は重なり合って、茎に垂直に着き広く開出して、溝ないし樋状で、ほぼ類円形、葉先は葉長の1/4〜1/3ほどまで二裂し、裂片の先は円頭。
 葉身細胞は円形〜楕円形で、長径12〜20μm、薄膜で平滑、トリゴンは大きい。油体は一細胞に2〜3個あり、楕円形から紡錘形で、長さ5〜12μm、微粒の集合で、中央に眼点が一つある。

 一部の個体の先端には裂開した朔の残骸が残っていた。花被や苞葉の観察はしなかった。朔皮の表側と中側との表皮をみると、様子がかなり違っている。細胞と弾糸がわずかに残っていたので、それらも一応画像を載せた。ミゾゴケ科 Gymnomitriaceae のタカネミゾゴケ Marsupella emarginata に間違いなさそうだ。葉の形と油体が特徴的で、わかりやすい苔だった。